イタリアの人たちはよく「哲学」という言葉を使う。
90歳を超えたある婦人が、毎日を身体の衰えと共に必死で生きている姿を目のあたりにした。
もう30年以上親しくお付き合いしているクラシックファンだ。
彼女は会うなり私に言った。「歳をとると、人間は哲学をしっかり持っていないと生きていけないわ。」
哲学とは、「智」を「愛する」という2つの言葉からなる語源を持つ。
智を愛して人生や世界の原理を追求する学問だ。
イタリアの人たちには学問ではなく、人生の各場面に哲学が見える。
ピアノを弾いていると音楽にも哲学がある。アレクサンダーテクニックにもそれは厳然と在る。
難しい事ではない。心が弾み躍ることなのだ。