BLOG

逆境がもたらす幸せ

逆境がもたらす幸せ

人は幸福を追い求める。  不幸に遭遇したくないとの思いは、誰でも同じだろう。  私もおそらく、ずっと幸福を追い求めてきたのだと思う。  その幸福がどんなものであるか、そこには多くの異なった視点がある。  私の幸福とは何だったのだろう。  1つ確信をもって言える事は、 自らの精神が高みに向かう時に、私はこの上ない幸福を感じたことだ。  私にとって、それは生きる価値にもつながっていた。
そして今、あることに注目する。  それは、私自身の幸福を感じた時、ほとんどの場合が逆境に身を置いた結果だったという事実だ。

逆境が幸福を導いていた。  この事実は 「生きること」 そのものを表している。  生きている限り、環境や状況は絶えず変わる。  良い時は続かない。  後に必ず逆の状況がやってくる。  同じように悪いことも続かない。  後には必ず良いことが待っている。  つまり、われわれは状況の起伏と共に生きているのだ。  だから逆境の最中にある時も、落ち込んだり腐ったりする必要は無い。  幸福の絶頂にある時も有頂天になってはいけない。

こんなふうに考えていくと、今流行りの 「自分ファースト」 という発想の幼稚さが見えてくる。  「自分ファースト」 に身を置いたとしても、それがどのような幸福につながるのだろうか?  この絶えず変わる状況の中で、人は幸福の中に留まり続けられるだろうか。

逆境こそが人を鍛える。  鍛えられて強靭な精神を得て、人は幸福になる。  精神を壊滅させたり、身を削ったりするストレスは、避ける努力をしなければならないが、自らと戦う際のストレスは大いに歓迎すべきだ。  逆境に身を置くことで、脳は活性化し、戦いに挑む際に得る高い集中力は、限りなくエネルギーを生み出す。  それが戦っている姿なのだ。  だから我々は戦わなくてはならない。

老化による演奏技術の低下を嘆くと、ほとんどの人は 「受け入れることが大切」 と私に言う。  しかし今の私はそう思わない。    戦うことで小さな幸せを得ているからだ。  老化という逆境も私に幸せをもたらしている。  そう確信する日々を送っている。