私は天秤座の生まれだ。 天秤は物を秤にかけたり、左右の釣り合いをとったりするので、よく人からは均衡が取れていていいですね、と言われる。 しかし、実際は、そうではない。 天秤座生まれの人の多くは、 バランスが取れているのではなく、何事につけてもバランスを取ろうとするのだ。
私にもその傾向がある。 ふと気がつくと、生活の中の様々な場面で、無意識にバランスを取ろうとしている。 時には、余計な気を遣い、無駄な労力を使って、そのために疲れ果てることもある。
バランスが取れているのはいいことだ。 仕事をしていてもやりすぎず、怠けすぎずという風にバランスが取れていれば、誤った方向に大きく道を踏み外す事は少ない。 しかし、一方でバランスを保つのは難しいことでもある。
先日、半月近く体調を崩した。 原因はオーバーワークだった。 現在、高度な技術を要する曲に取り組んでいて、難所を克服するべくつい、オーバーワークになったのだ。 しばらくして突然、首に激痛が走り、痛み止めのお世話になること10日。 痛み止めの効果が持続している間に練習する日々を繰り返した。 ようやく痛みが引き始めた頃、ツケが回ってきた。 体の不調が続き、半月余り経ってやっと自力で体調が回復した。
痛みが出る前に練習のペースをスローダウンするべきだった。 しかし、日々積み上げている成果の実感を得て、止めるわけにはいかなかった。 ただ、そのバランスをうまく取れなかったのだ。
イタリア語で、「真ん中の道を見つける」という表現がある。 〜 trovare una via di mezzo 〜 日常的によく使われる言い回しだ。 Aにしようか、Bにしようかと迷った時、Aでもなく、Bでもない、その中間の方法を見つけるというものだ。 一見、優柔不断のように見えるが、これが意外と解決につながる策になる。 2つの間でうまくバランスが取れている状態になって窮地を潜り抜けることも珍しくない。
これは 仕事にも、体調管理にも、人との付き合い方にも、また根本的な考え方にも応用できる謂わば、生きていくための術かもしれない。
天秤座の星の下に生まれたとは言え、私はバランスを取るのに失敗ばかりしているような気がする。
もう少しスマートに生きたいものだ。