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輝くとき

いつも、道端には様々な花が咲いている。季節が移っても、それぞれの場で色々な花を目にすることができる。
何気なく通り過ぎて行くことの多い日常だが、時折りその中で不思議に強く惹きつけられる花がある。それはたとえ小さな野の花でも、雑草のような地味な花でも、それがその場で精一杯輝いている時だ。
「花のいのちは短くて、苦しき事のみ多かりき」という通り、その花が輝いている時間は実に短い。しかし、全ての花はいつか、最高に美しく輝く時を持つのだ。そこに出会うことは幸運な事だ。
それはたとえ小さくても花弁の先までピンと張りつめて、葉も艶やかな緑で、健康そのものだ。その張りつめた花弁や艶やかな葉からは何とも言えないエネルギーに溢れたオーラが辺り一面に立ち込めている。
私は思わず足を止めて「綺麗ね!」と声をかける。立ち止まる時間の持てない時は、また帰りに見よう、明日見ようと思う。しかし帰り道でも翌日でもその花はもう、普通の平凡な花に戻っている。写真家なら、いつもこんな輝いている瞬間を探して歩いているのだろう。
輝いていなくても、花が盛んに私に語りかけてくることがある。
そんな時は通り過ぎて行くことはできない。もしかしたら、花が必死になって語りかけているのに、気が付かずに過ぎてしまうことがあるのかもしれない。
道に咲く花には不思議な力がある気がする。人も心の何処かにそんな花の語りかけや輝きに気付き、そのオーラに入っていく場を持たなくてはいけないと思う。花を美しく、力強いその生命力を撮る写真家は、きっとそんな場を心の中にたくさん持っているのだろう。

そして、私も輝く時が持てる時が来ることを期待しよう。花のようにシンプルで慎ましくはいかないかもしれないが、きっとそれは豊かな時をもたらしてくれるに違いない。