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ビスケット談義

ビスケット談義

昨年亡くなった母によると、私は、赤ん坊の頃からビスケットが好物で、側に小さなビスケットを一切れ置いておくと、目覚めても泣かなかったそうだ。その生来のビスケット好きは、ずっと健在で、約40年前にイタリアの地を踏んでからというもの、それはどんどんエスカレートしていった。日本のクッキーは美味しいが、それは私にはあのビスケットとは別物だ。

イタリアのスーパーに行くと、多くのビスケットが長い通路の両側に並んでいる。朝食に、間食にとビスケットはイタリアの食文化の重要な存在になっている。それが、とてつもなく美味しい。バター臭くなく、いくらでも食べられる。私はすぐにその虜になってしまった。旅行に行っても、地方に行ってもお手製の美味しいビスケットが朝食のテーブルに並ぶ。いつもトランクに入るだけ買い込んで楽しんでいたところが、突然このコロナのパンデミックで、イタリアは遠い国となってしまった。

そうだ、作ってみればいいと思い立ち、友人達に教えてもらったレシピを頼りに、好きなビスケットまがいのものを焼いてみた。先ずは、カントゥッチーニというもの。私の大好きな硬いビスケットだ。それが、イタリアのものとあまり変わらず美味しく出来た。調子に乗って、今度はブルッティ マ ブオーニ(形は悪いが美味)。これも合格。これで、美味しいビスケットが無いと、ほぼ生きていけない私の悩みは解消された。コロナのお陰だ。今度は近いうちに、クルミーリという伝統的なビスケットに挑戦したいと思っている。